本・映画

2008年8月 2日 (土)

「ショコラの見た世界」

Chocolat DVDで「ショコラの見た世界」を観ました。

竹内結子×docomo(ソニー・エリクソン)のプロモーションフィルム

小学生のテンコ(典子)は姉ショコラ(初子)(竹内結子)が旅先で出会った不思議な話を聞くのが大好きだった。ショコラの突然の死から7年たったある日、テンコはショコラの恋人だったジダン(治男)と偶然再会する。ショコラからの携帯画像(動画)メールをジダンに見せてもらったテンコは、ショコラの不思議な話がすべて本当だったことを知り、ジダンと共に最後のメールが送られた場所を訪ねる・・・

評判になったdocomoのコマーシャルを膨らませて、行定勲監督が作り上げた49分の中編映画です。

幻想的なアイデアが、どうやって撮ったのかと思うような美しい映像で丹念に仕上げられていて、大画面で見ると、画像だけで癒されそうです。

上映時間が短いという理由で家内が借りてきたDVDですが、まあ、ちょっとしたプロモーションフィルムといったところで、竹内結子のファンの方にはお薦めかもしれません。

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2008年7月29日 (火)

「マイティ・ハート」

A_mighty_heart DVDで「マイティ・ハート」を観ました。

心が挫けなければ、テロに負けない

2001年1月、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者ダニエル・パールはパキスタンでテロリストに誘拐される。妻で同業者のマリアンヌは、身重でありながら気丈に対応し、二転三転する捜査に協力するのだが・・・

実話「マイティ・ハート 新聞記者ダニエル・パートの勇気ある生と死」を製作ブラッド・ピット主演アンジェリーナ・ジョリーで描いた話題作です。

ストーリー自体は実話ですし、起伏は少なく淡々と進行するものなので、映画を彩る俳優の表現が作品を印象付けることとなります。

その点で、アンジェリーナ・ジョリーは十分期待に応える演技をしていると思います。

気丈に凛として対応しながらも、張り詰めて切れそうな精神の糸を必死につなぎとめ続ける主人公の表情を、堰を切ったように泣き叫ぶ感情表現を、抑制された素晴らしい演技で観せてくれます。

静かに熱い彼女の演技が、ドキュメンタリー映画のような構成と相まって、非常に印象強い映画に仕上がっています。

ただ、この映画はアンジーの演技も含めて「記録」映画であり、面白い映画かと言われれば答に窮します。得るものがあるかどうかは観客次第でしょう。

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2008年7月27日 (日)

ランディ・パウシュ教授 逝去

Randy_pausch 以前、「最後の授業」という本をご紹介しましたが、著者のランディ・パウシュ教授が7月25日の朝に亡くなったそうです

もう一度、「最後の授業」を読み返しつつ、ご冥福をお祈りいたします。

素晴らしい本をありがとうございました。

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2008年7月26日 (土)

「犯人に告ぐ」

Hanninnitsugu DVDで「犯人に告ぐ」を観ました。

トヨエツ、カッコよすぎ

神奈川県警の巻島警視(豊川悦司)は、6年前に児童誘拐事件の指揮を執り、失態を犯して左遷されていた。しかし、解決の糸口のない児童連続殺人事件の指揮を援助するために県警本部に呼び戻されることになり、テレビ・ニュースに出演した巻島は犯人を挑発しはじめ、前代未聞の「劇場型捜査」の幕が切って落とされた・・・

主演の豊川悦司の独擅場といった感じの映画です。およそ刑事らしからぬ風貌や態度、そして「マカロニ刑事」を彷彿とさせるようなラスト。ちょっとカッコよすぎかな。

全体的なストーリー運びとしては、ほどよい緊張感が続く2時間弱ですが、後半の展開は詰め込み過ぎの感もあり、この内容でこの時間に収めるには少し厳しかったのかも知れません。

犯人像が薄っぺらくて、「事件」そのものに重みや緊迫感やリアリティに欠けるきらいがあり、その点で、観客は「トヨエツ」には没頭できても「事件」には没頭できないと思います。

もちろん、ここ最近、実際に起こっている「事件」でも、犯人像が実に薄っぺらいものが少なくありませんが。

原作は読んでいませんが、原作に比べると見劣りするという映画評が多いようです。機会があれば、原作も読んでみることにします。

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2008年7月25日 (金)

「クライマーズ・ハイ」

Climbers_high

映画化されて公開中の横山秀夫のベストセラー「クライマーズ・ハイ」を読みました。

発表当時、「このミス」や各種書評のトップランクを独占したことで、話題になった小説です。

勝利なき父親たちの物語

1985年8月12日に起こった未曾有の大事故、日航ジャンボ123便墜落事故の全権デスクを任された地元新聞社の遊軍記者を主人公に、新聞社内の熱い戦い(権力争い、仕切り合い)や記者の家族・友人など、様々な軸を据えて描かれた作品です。

地元の新聞社(上毛新聞)の記者として日航ジャンボ墜落事故を追った経験を盛り込んだ作品だと思いますが、新聞社内の状況にここまで切り込んで描いているのは、多分に私小説的なところもあるのでしょうか。ある意味、大胆な渾身の作品と言えるのかもしれません。

事故自体は史実ですので、ストーリーを大きく弄りようはありませんが、事故をめぐる人間関係や事故に対する捉えかたを多くの切り口で描いています。

ここまで沢山のエピソードを盛り込む必要があったのかという内容ですが、その中でも肝となるのは社内組織と親子という2つの軸によって描かれる人間関係の葛藤でしょう。特に父と子を描く語り口は、この物語の一番の泣かせどころだと思います。

畳み掛けるような文章と力強い描写で、非常に筆力のある作家だとは思います。その熱い文章ゆえに、気がつくと読まされているようなところもあるのですが、よくよく考えると、どうも話の展開的には「?」というところもあります。

これは「半落ち」でも感じたことですが、もう少し注意深く筆を進めれば、非の打ちどころがないのにと思わざるを得ません。

その圧倒的な筆力のために、見過ごされがちになってしまうのかもしれませんが、この辺りは、周りのスタッフや編集者と十分なディスカッションがなされていないのでしょうか。

様々な評価はあると思いますが、一気に読まされる熱の籠った小説です。

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2008年7月20日 (日)

「マーゴット・ウェディング」

Margot_at_the_wedding DVDで「マーゴット・ウェディング」を観ました。

笑えない。眠たいだけ。

ニューヨークに住む作家のマーゴット(二コール・キッドマン)は、妹の結婚式に参列するため、中学生の息子を連れて、久しぶりに帰郷する。長らく疎遠になっていた妹と再開するが、妹の結婚相手が定職についていない自称画家の男(ジャック・ブラック)であることが気に入らず、再び姉妹の間はギクシャクし始める・・・

日本未公開だけど、二コール・キッドマンとジャック・ブラックが共演した「コメディ」と聞かされると、誰しも期待してしまうと思います。

でも、これは「コメディ」じゃないでしょう。もちろん、思わず失笑してしまう箇所も多少はありますが。そのあたりではジャック・ブラックらしい味もなくはないといったところ。

話の内容も整理されておらず鬱屈していて、観ていて楽しいものではありませんし、二コール・キッドマンの良さもジャック・ブラックの良さも生かされていないと思います。

名前だけで人を呼べるスターを配しているのに未公開なのは、やはりそれなりの理由があるということなのでしょう。

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2008年7月17日 (木)

「象の背中」

Zonosenaka DVDで「象の背中」を観ました。

いい話だけど、みんな優等生すぎる

48歳になる藤山(役所広司)は不動産会社の部長として仕事は順調であり、家庭も円満で、妻(今井美樹)と大学生の息子・高校生の娘と幸せな日々を過ごしていた。しかし、ある日突然、肺癌で余命6か月と医師に宣告される。宣告を聞いて彼が選んだのは、癌との闘病生活ではなく、これまでの人生で出会ってきた人たち(初恋の人、喧嘩別れしていた高校時代の親友・・・)と会って別れを告げ、自分の人生と向き合って死を受け入れていこうということだった・・・

秋元康の新聞小説の映画化です。この役のために10Kgは減量したという役所広司の存在感や、岸部一徳ら名脇役の深い間のある演技で、印象深い映画に仕上がっていると思います。

けれども、登場人物すべてがちょっと優等生すぎやしないかな。

主人公はもちろんのこと、妻(今井美樹はミスキャストじゃない?)、子供たち、会社の上司・同僚・部下、兄弟、友人、愛人・・・、みんないい人過ぎます。物分りが良すぎます。

まあ、それだけ主人公が人徳者だったと言われれば身も蓋もないのですが、ちょっとリアリティがないなあ。

せっかく役所広司が体を張って取り組んでいるんだから、もっと人生の毒というかドロドロしたところも出しきって、聖も邪も渾然一体としたところから光が差し込むようなエンディングに運んでくれれば感動できたと思うのですが、何だかちょっと白けてしまったようなところがあります。

いいテーマのストーリーだし、いい役者が揃っているので(役所広司と岸部一徳の会話のシーンなんかは見事な間合で、この映画の白眉でしょう)、ちょっと残念でした。

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2008年7月15日 (火)

「Chapter 27」

Chapter27 DVDで「Chapter 27」を観ました。

Gimme Some Truth !

マーク・デヴィッド・チャップマンが1980年12月6日にニューヨークにやってきてから、12月8日にジョン・レノンを銃殺するまでの3日間。ダコタハウスの前に立つチャップマンの手には、38口径のリボルバーとペーパーバックの「ライ麦畑でつかまえて」が握られていた・・・

ビートルズに人生を変えられたと思って生きてきた以上、やっぱり観ておかなければと義務感に駆られて観た作品。

主演のジャレッド・レトが製作総指揮も兼ね、体型も含めてチャップマンに成り切るという意気込みで作られています。

映画を観ながら、これはどこまでが「真実」の話で、どこが脚色なのか、「あのとき」誰かが別の行動をしていれば、「あの事件」はなかったのか、ということばかりを考えていました。

歪んだ精神を持ったひとりの男の行動を描いた映画としては面白くなくはないのですが、結局、何故彼がジョンを殺さなければならなかったのかは全く説明されていませんし、この映画を観て何か新しいことが分かるという訳でもありません。

いまだにジョンの謀殺説が完全否定されていない状況で、この映画をこういう視点から作るということにどれほどの意義があるのか疑問に思います。

「真実」を明らかにするのは困難なことでしょうが、チャップマンの経歴やインタビューなどを脚色なしに提示して、観客に考える余地を与えるような映画にして欲しかったと思います。

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2008年7月12日 (土)

「パーフェクト・ストレンジャー」

Perfect_stranger DVDで「パーフェクト・ストレンジャー」を観ました。

『秘密ってすごい、暴かれるまでは。』・・・

ロウィーナ(ハル・ベリー)は権力者たちの醜聞を暴きたてるためには手段も選ばない新聞記者。そんな彼女の幼なじみが、有名なIT長者ハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)との不倫関係の末、変死体で発見された。真相を究明するため、ロウィーナはハリソン・ヒルに近づくのだが・・・

ミステリー映画としてはあまり評判は良くなかったみたいだけど、僕はそれなりに楽しんだかな・・・

「ラスト7分11秒、想像を遙かに超える”衝撃の真実”が明かされる」という映画のキャッチコピーの通り、最初からドンデン返しを臭わせるストーリー運び(伏線)が鼻につきます。

ラストは予定された通りのドンデン返し。察しの良い人には真犯人はすぐに分かるのかもしれませんが、事前に犯人が分かろうが分かるまいが、予定されたドンデン返しというのも何だかなあ。

観客はミステリーを楽しみたいのであって、必ずしもドンデン返しを楽しみたいのではないので、製作者たちはその辺を勘違いしているのでは。

ただ、基本的なストーリーとしては面白いと思うので、もう少し巧く脚色すれば、これほど評判は悪くなかったのかも。

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2008年7月 3日 (木)

「ヘアスプレー」

Hairspray DVDで「ヘアスプレー」を観ました。

ハッピーな歌と踊りが満載のミュージカル

60年代のボルチモア。トレイシーは歌と踊りに夢中なポッチャリ体型の女子高生。高校生たちが主役の人気TV番組「コニー・コリンズ・ショー」に憧れる彼女は、ダンス・パーティーで踊るところをスカウトされ、晴れて番組のレギュラーになるのだが・・・

60'sテイストにあふれた青春ミュージカル映画です。

実際のオーディションで主役に抜擢されたニッキー・ブロンスキーの幸福感に満ちた歌と踊りは圧倒的で、のっけからの「グッドモーニング・ボルチモア」で映画の世界にグイグイ引きこんでくれます。

とにかく全編を通してハッピーな歌と踊りが満載で、古き良き青春映画らしいワクワク感がいっぱい。

けれども、予定調和なストーリーと目新しさのない映像はちょっと退屈で、中盤からはダレ気味。

ファット・スーツと特殊メイクでトレイシーの母親になりきったジョン・トラボルタが話題ですが、トラボルタがやる意味があったのかな。もっと魅力的なお母さんを演じられる女優はいると思うけど。

トラボルタとクリストファー・ウォーケンが愛を語らうシーンを見たい人はそれほど多くないのでは・・・

このところ、コメディー、ホラー、ミュージカルと観てきたのは、子育てで疲れた家内が眠くならないための選択。けれども、この映画の後半は眠かったです。

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2008年7月 2日 (水)

「最後の授業 ぼくの命があるうちに」

The_last_lecture 友人がブログで紹介していた「最後の授業 ぼくの命があるうちに」を読みました。

著者はカーネギーメロン大学(ペンシルベニア州ピッツバーグ)でコンピュータ・サイエンスにおけるヴァーチャルリアリティの若き権威として知られるランディ・パウシュ教授。

この本はパウシュ教授が2007年9月18日に大学で「最後の授業」を行ったその内容と、その「続き」について綴られたものです。

アメリカでも日本でも、大学では人気教授の引退時の「最終講義」というのがありますが、パウシュ教授の場合はそれだけでない特別な意味のある「授業」でした。

この講義を行った時、46歳であったパウシュ教授は、その一年前に膵臓癌を宣告され、手術や化学療法を行ってきたものの、講義の直前に癌の転移が判明し、余命は3-6ヶ月と宣告されていたのです。

ですから、もちろんこの授業はその事を前提に進められているのですが、決して「遺書」などではない、人生とその夢に対するポジティブな「金言」に満ち溢れた本でした。

講義の内容は専門のコンピュータ・サイエンスの話ではなく、彼が人生を振り返りながら、「子供のころからの夢を本当に実現するために」という内容で語ったものです。

ほとんど3ページに一度は線を引きたくなるような提言が満ちているのですが、ユーモアと楽観主義に溢れた語りで、押し付けがましさは一切ありません。

その理由は、この講義が聴衆に対してだけなされたのでなく、彼の子供たち(6歳の長男、3歳の次男、1歳の長女)のためであったからでしょう。

この本は、実際の講義を記録したDVD付のものと、そうでないものの2種類が出ているようですが、多くの人が薦めるように、先にDVDを見て、それから本を読むのが一番の方法だと思います。実際、そういう順番で作られた本ですし。(DVDの内容は出版社のウェブ・サイト―YouTubeによるもの―でも見られるようです。)

DVDで見られる講義の内容は実に楽しいものです。ユーモアたっぷりに力強く語る教授の様子はとても末期癌と闘っているようには見えません(もちろん彼と彼を支える家族の努力があってこそ、そのように見られる講義ができたわけですが)。

実際の講義は1時間あまりで、内容的には残念ながら少し足りない、ややまとまりに欠けるところもあります。教授自身もそのことは十分自覚しているのでしょう。本はそれを補足・補完し、さらにあえて授業では話すのを避けた妻と子供のことについても多く割かれています。ですから、DVDを見るだけでなく、必ず本を読まなくてはいけません。

本の中で語られるエピソードの中で、好きなものはいくつもあります。

12歳のときにディズニーランドでやっとの思いで買った両親へのお土産を、買った直後に壊してしまったとき、お店の人たちがしてくれたこと。(顛末は是非とも本で読んでください。)

幼いころからのヒーローだったスター・トレックのカーク船長(俳優のウィリアム・シャトナー)が、パウシュ教授の仕事を取材に来て、その後にカーク船長の写真に船長の台詞をサインして送ってくれたこと。

その台詞は「勝ち目のないシナリオがあるはずはない (I don't believe in the No-Win Scenario.)」。

親しい人に薦めたくなる本です。

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2008年6月29日 (日)

「28週後...」

28_weeks_later_2 DVDで「28週後...」を観ました。

って、最近やたらDVDばかり(しかも新作ばかり)観てますが、これには理由があって、家内のTSUTAYAカードが何かのキャンペーンで、一ヶ月間新作も含めて毎日半額というサービスになっているからです。

相変わらず面白いけど、救いようがない

感染すると異常に凶暴になり、見境なく他人を襲うようになるRAGEウィルス。実験動物からの感染は、イギリス全土で猛威を振い、壊滅的な傷跡を残した。しかし、数週間で感染者たちは餓死しはじめ、新たな感染者もなく、事態は収束に向かいつつあった。隔離状態にあったイギリスも、28週後にはアメリカ軍の主導により復興が始まり、イギリス国外から国内安全地区への帰国も認められるようになった。スペイン旅行中で難を逃れたタミーとアンディの姉弟は、軍の統制下にある安全地区で、九死に一生を得た父と再会する。彼らが安全地区を抜け出し、自分たちの旧家を尋ねると、父に見捨てられるような形で死亡したはずの母が生きていた。ところが感染しているはずの母には症状がなく・・・

アイデアと脚本の秀逸さで、低予算ながらヒットした「28日後...」。この映画はその後を描いた続編です。

前作同様、イギリス映画らしいシニカルな視点は健在で、ありがちなゾンビ物ながら、期待を裏切らない面白さで、最後まで緊張が途切れることがありません。

今回も捻れ具合は結構なもので、「愛する者に殺される恐怖。愛する者を殺してしまう絶望。」というキャッチ・コピーそのままのひねくれた視点のホラー。しかし、「アメリカ軍」が、凶暴な感染者も逃げ惑う非感染者(一般市民)も見境なく射殺していくシーンなどは、取りようによってはかなりブラック。

101分という時間にまとめた脚本も映像も巧いと思いますが、最後に希望が垣間見られた前作とは異なり、救いようがない物語でもあり、グロテスクなシーンも少なくありません。

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2008年6月26日 (木)

「カンナさん大成功です!」

Kannasan DVDで「カンナさん大成功です!」を観ました。

ひと捻り半の変身物語

身長169㎝体重95Kgのカンナさん(キム・アジュン)は、類稀なる美声の持ち主だが、そのルックス故にアイドル歌手のゴースト・シンガーに甘んじてきた。女王様気取りのアイドルに馬鹿にされ、憧れのプロデューサー(チュ・ジンモ)の冷たい言葉を聞いてしまったカンナさんは自殺さえも決意する。けれども、死ぬ気の決心をした彼女は全身整形で別人に生まれ変り・・・

この手の変身物語(醜いアヒルの子が白鳥に・・・)は珍しくありませんが、この物語はひと捻りの面白さがありました。

華麗な変身を遂げた後も、コンプレックスを抱いて生きてきた心まではすぐには変身できないこと。過去の自分を捨て、親や友達も失うことへの逡巡。整形したこと、そしてそれを隠していることへの後ろめたさ。

こういった複雑な主人公の心理を巧く絡めて話を作り上げているところは、ありきたりの変身物語とは一味違うところです。

そして、もうひとつ面白いのは、美容整形というものを否定も肯定もしないところ。

日本でこの映画を作るならば、恐らく美容整形に否定的な印象8割(やっぱり見た目より心が大事、ナチュラルな美しさこそ一番)でエンド・ロールになると思いますが、そこはさすがに整形大国の韓国(進学や就職祝いに親が子に美容整形をプレゼントすることも珍しくないそうです)、否定・肯定の印象は5分5分といったところ。

ラブ・コメ、ロマ・コメとしても上質な作りで、誰が見ても楽しい気分になれると思います。

けれども、この映画の一番の魅力は、やっぱりキュートな主演のキム・アジュンに尽きるのではないでしょうか。

女性が可愛らしくきれいになるという話なので、女優さんが可愛くないと話にならないのですが、それこそナチュラルなキュートさに溢れています(オーディションの条件は整形していないナチュラル美人であることだったとか?)。

見た目が美人なのは当然として、ちょっとした仕草などが可愛らしく、女性は見た目が大事だけどそれだけでもないよ、という部分に説得力を持たせているような気もします。

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2008年6月23日 (月)

「俺たちフィギュアスケーター」

Blades_of_glory DVDで「俺たちフィギュアスケーター」を観ました。

バカバカしさもここまでやれば立派!

アメリカ男子フィギュア・シングル界の貴公子、ジミー(ジョン・ヘダー)と、マッチョで下品なセクシーさを売り物にするチャズ(ウィル・フェレル)。全く正反対のキャラクターのふたりだが、彼らは常に世界のトップを争っていた。ところが、ふたりは同点1位の表彰台で揉め合って大騒ぎを引き起こし、男子フィギュア・シングル界を永久に追放されてしまう。失意の日々を送る彼らが選んだ起死回生の策は、前代未聞の男同士によるペア部門での復活だった!・・・

奇抜な設定を聞いただけでも思わず笑みがこぼれるコメディーですが、その期待に十分応えてくれるバカバカしさで首尾一貫しています。

次から次に繰り出してくるお下劣でおバカなギャグは、まるで全盛期のダウンタウンのコントのよう。

けれども、そんなナンセンスなギャグを支えるストーリーや映像はしっかりと作り込んであり、フィギュアの大会のシーンも、実際の氷上のワイヤー・アクションで撮影されています。

サーシャ・コーエンらフィギュア界の大物たちも実名で出演しており、そんな本物志向で固めた基盤があるからこそ、バカバカしいギャグが活きています。

下ネタがらみの下品なギャグが苦手な人には勧められませんが、とにかく掛け値なしでバカ笑いできる映画です。

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2008年6月19日 (木)

「ブレイブ・ワン」

Brave_one_2 DVDで「ブレイブ・ワン」を観ました。

ラストシーンはこれでいいのか?!

ニューヨークのラジオ・パーソナリティーとして、ニューヨークを愛し、ニューヨークの音やエピソードを蒐集して歩くエリカ(ジョディ・フォスター)は、暴漢に襲われ、結婚を約束した恋人を眼の前で殺され、自らも重傷を負う。以後、街を歩くことさえ怯えるようになった彼女は、銃を手に入れ、正当防衛のために人を撃ってしまう。そして、彼女の中の何かが変わった。復讐のためだけでなく、許しがたい社会悪に対しても銃を向けるようになった彼女は、とうとう自分たちを襲った暴漢グループを見つける・・・

愛する人を奪われたヒロインの復讐劇を描いた映画というと、トリュフォー×ジャンヌ・モローの「黒衣の花嫁」を思い浮かべますが、この映画はそんな「哀しい物語」の枠を大きく踏み越えています。

この話のヒロインは「復讐」という枠を越え、社会悪とさえも、自らの違法な力で対峙しようとします。

彼女にとって、そうすることが必要なのか??

そして傷心のエリカを支え、しかし、エリカの正体に迫ろうとする刑事(テレンス・ハワード・・・この俳優さん、「クラッシュ」でも良かったけれども、独特の色気がありますね)が最後に下した決断は・・・

監督は「クライング・ゲーム」や「インタヴュー・ウィズ・ヴァンパイア」で知られるニール・ジョーダン。アイルランド出身のこの監督が、こういう結末を選ぶのはちょっと意外でした。

賛否両論があったというラストシーンは、ジョディ・フォスターの存在感で強引にねじ伏せてはいるけれども、やっぱり違和感は否めないと思います。

この結末を選ぶことに意味があるのかな?

つらい過去を背負わされたエリカだけれども、「復讐」に対する葛藤を抱えて苦しむ。ありきたりだけど、それだけでいいのでは?

そこをありきたりでない演出をすることで、映画の格が上がるのではないのかな?

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2008年6月17日 (火)

「面白いほどよくわかるギリシャ哲学」

Philosophia ギリシャ神話やトロイア戦争ものの関連で図書館で手に取ってみた本。

面白いほどよくわかるギリシャ哲学―ソクラテス、プラトン、アリストテレス・・・現代に生き続ける古典哲学入門(学校で教えない教科書)

雑学知識のための読み物としては読みやすいし面白いけど、これでギリシャ哲学がわかるってことはないと思います。

見開きの右に解説、左にその内容の図やシェーマという構成で貫かれていますので、適当なページを広げて眺めるだけでも楽しめる本です。

そういう意味では、学校の世界史で訳の分らない言葉の羅列だけを憶えさせられて辟易しているひとにも、ギリシャ哲学の敷居を下げて興味を持たせる工夫がしてあるのでしょう。

なかでもプラトンについて多くのページを割いていて、プラトンの人間物語としても楽しく読めます。

けれども、これを読んで、プラトンの原著を読もうと思う人はあまりいないでしょうね。僕もちょっとそこまでは・・・

長男のギリシャ神話・トロイア伝説熱に応えるために読みだした関連本ですが、親父がのんびりしている間に、長男の興味は日本の歴史に移ってしまって、高校で日本史の授業を取らなかった僕はタジタジです・・・

今度は日本史関連の本か~?

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2008年6月15日 (日)

「キサラギ」

Kisaragi DVDで「キサラギ」を観ました。

優れた脚本による密室劇

自殺したC級アイドル「如月ミキ」の一周忌に集まった男5人。彼らは、熱烈な如月ミキのファン「家元(ハンドルネーム)」(小栗旬)が主催するウェブサイトの常連たちだ。ミキを偲んで集まった彼らだが、次第に隠していた素性が明らかになり、「ミキは自殺じゃない」という様々な推理が乱れ飛び、真相究明のために議論は加熱していくが・・・

登場人物は基本的に男5人(小栗旬、小出恵介、ドランクドラゴンの塚地武雅、ユースケ・サンタマリア、香川照之)のみ。一周忌の会場の狭い部屋のみを中心に物語が展開する密室劇です。

脚本が非常に上手く、ちりばめた伏線をきれいに回収して物語を収斂していく後半は爽快感すらあります。

しかも、密室のみで展開する舞台劇のような構成ですので、ほとんどが台詞回し+回想シーンで展開します。

要するに5人の男たちの台詞がすべてです。観客に状況を理解させるために説明的な台詞を並べると白けてしまいがちですが、この白けないギリギリのところで繋いでいく脚本は本当に見事です。

ただ、5人の男優たちの演技に不満がないわけではありません。

ほとんど舞台に近いような設定の中で、小栗旬ら若手の俳優も頑張ってはいますが、ちょっと台詞が上滑りしている印象は否めませんでした。

それぞれかなり個性的なキャラクターを演じているのですが、そのキャラになりきれてないというか・・・

いつもは圧倒的な演技力で様々な映画の要となってきた香川照之も、作ったキャラが馴染んでないような感じもします。

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2008年6月10日 (火)

「クワイエットルームにようこそ」

Quiet_room DVDで「クワイエットルームにようこそ」を観ました。

松尾スズキ・ワールドのひとつの完成形

これまで人生を真剣に考えることもなく、成り行きでフリーライターになったバツイチの佐倉明日香(内田有紀)。知らず知らずのうちに人間関係や締め切りによるストレスが溜まり、ある時、気がついたら一面真っ白な部屋で手足を拘束されて寝かされていた。不眠症になっていた彼女は大量の睡眠薬と酒を飲んで倒れ、精神病院の閉鎖病棟に強制入院させられていたのだ。そこは彼女と異なる常軌を逸した患者たちが奇声を上げて走り回り、暴れ、拒食・過食と嘔吐を繰り返し・・・。早期退院を希望する彼女だが、病院の規則は厳しく、締め切りに迫られた原稿を書くどころか、外界との連絡もままならず・・・

エキセントリックな舞台演出や演技で知られる松尾スズキの監督2作目の映画です。

1作目の「恋の門」も、彼のシュールな演技に負けず劣らずの奇抜で面白い映画でしたが、この「クワイエットルーム」は、シュールなだけでなく、人間を深く掘り込んだ松尾スズキ・ワールドの集大成的な映画でした。

もちろん、いつものブチ切れたようなギャグも挟みつつ、非常に鋭い人間観察と人生考察を提示し、ひとの心の闇に灯をともすような演出も見事です。

病院の閉鎖病棟という狭い空間で繰り広げられる群像劇は、さながら優れた舞台演劇のよう。

結婚して引退状態だった内田有紀の離婚~復帰第1作を支えるのは、宮藤宮九郎、大竹しのぶ、蒼井優、りょう、妻夫木聡といった面々。

大竹しのぶの怪演、宮藤宮九郎、蒼井優のエキセントリックだけど心に沁みる演技は必見だと思います。

ここ最近の邦画の中で一番のお薦めです。

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2008年6月 8日 (日)

「ボーン・アルティメイタム」

Bourne_ultimatum DVDで「ボーン・アルティメイタム」を観ました。

最後まで緊張の途切れないアクション+知的そうな演出

大ヒットを記録した「ジェイソン・ボーン」シリーズ3部作の最終話です。

殺人マシーンとしてCIAに養成されたジェイソン・ボーン。失っていた記憶がおぼろげながら戻りつつあり、逃亡生活を共にした恋人を奪われた憎しみや、「ジェイソン・ボーン」として暗殺事件にかかわってきた罪の意識を内に秘めて、自分探しと復讐の戦いはいよいよ終焉に・・・

退屈させないドンパチが最後まで途切れなく続く、いわゆるジェットコースター・ムービーです。

そういう意味では基本的には「ダイ・ハード・シリーズ」と何ら変わりないでしょう。

けれども、「ダイ・ハード」よりも知的そうに見えるのは、CIAという名のもとに知的そうな演出で話を包んでいるからだと思います。ストーリーそのものは複雑な国家の謀略なども登場しない極めてシンプルなものです。

観るときにちょっと疲れていたので、複雑な話ならフォローするのがしんどいなあと思いながら観はじめましたが、何のことはない、極めて単純な話で、気楽に楽しめました。で、観終わってから冷静に振り返ると、ほとんどドンパチとアクションだけの映画でした。

別にだから悪いと言っているのではなく、映画としては相当面白いです。アクション映画の演出としては他に類を見ない素晴らしいものだと思います。

こういったアクション映画は嫌いじゃないですし、もちろん「ダイ・ハード」も好きだけれども、「ダイ・ハード」はドンパチ・アクションの上に乗っけるデコレーションがちょっと陳腐化してきているきらいがあるのに対して、「ボーン・シリーズ」はこのプラス・アルファの演出・味付けが非常に巧いです。こういったヒーロー映画によく見られる主人公の「不死身さ加減」もツッコミを入れたくなるような臭さがあまりないと思います。

ただ、アクション・シーンの映像は速すぎて、何だかよく分からないところも少なくありませんでした。まあ、これも単純な話や映像を複雑そうに見せるための巧みな演出と考えられなくもないですが。

このシリーズは次回も期待されているようですが、今回で3部作のストーリーは一段落しており、次回作を高い水準でまとめるにはハードルは低くないでしょうね。

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2008年6月 7日 (土)

氷室冴子

Himuro_saeko 作家の氷室冴子さんが昨日肺癌のために亡くなったそうです。

高校生くらいのときに何冊か読んだ記憶があるけれど、もう忘れちゃったなあ。

さよならアルルカン」は読んだような気がする。

享年51歳。

デビューも早かったけど、ちょっとあまりに早すぎる人生ですね・・・。

ご冥福をお祈りします。

・・・2日にはボ・ディドリーも亡くなったし、訃報が続きますね。

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2008年6月 6日 (金)

「マーサの幸せレシピ」

Martha 順番が逆になりましたが、「幸せのレシピ」の原作のドイツ映画「マーサの幸せレシピ」を観ました。

ヨーロッパ映画らしいこじんまりとしたまとまりの良い映画+いい音楽・美味しそうな料理

ストーリーの設定としては、細かなエピソードなども含めて「幸せのレシピ」とほぼ同じですが(5月30日の投稿もご参照ください)、この原作映画を観ると、「幸せのレシピ」はヨーロッパ映画とアメリカ映画との地理的な違いを上手く消化して良い翻案をしたなあという印象です。

話の流れとしてはほとんど異ならないのですが、物語に対する視点という意味では、ヨーロッパ映画的な視点とアメリカ映画的な視点の差が出ているように思います。

アメリカ映画では子供をより子供として多くの観客の共感が得やすいような描き方をしていると思います。ヨーロッパ映画の本作では、子供をもうちょっと自立したひとりの存在として描いている印象です。

こじんまりとしたまとまりの良い本作を、もう少し派手に万人に受け入れやすい演出をしたのが「幸せのレシピ」といったところです。

僕はキャストはアメリカ版のほうが好きですね。だって、ゼタ姐さんだもんね。

音楽は本作のキース・ジャレットがいいですね。昔のデイヴ・グルーシンみたいな感じで、サントラだけでも聴きたくなります。

それから、たくさん出てくる料理は本作のほうが美味しそうに見えました。何故かな?全体的に派手な色を押さえたカメラワークが却って料理の魅力を引き立てているのかもしれません。

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2008年6月 4日 (水)

「西の魔女が死んだ」

Nishi_no_majo 映画化され、間もなく公開予定の「西の魔女が死んだ」を読みました。

中学生になって間もなく学校に行けなくなってしまった少女まいが、「西の魔女」=おばあちゃんと過ごした日々を描いた小説です。

主人公の少女の繊細な心模様の描写と豊かな自然描写が丹念に重ねられ、よくあるタイプの再生ストーリーですが、必ずしもステレオ・タイプな甘い筆運びになっていないところに好感が持てました。

しかし、この作者の文章や構成は、どうも登場人物たちと読者との間に幕が一枚張られたような感じが否めません。小説というより脚本を読んでいるような・・・

何か素直な感情移入を拒まれているような感じがしないでもありません。そのちょっと突き放したところが、良くも悪くもアマチュアっぽい感じもします。

映画化はしやすい小説だと思います。けれども、ありふれたつまらない「ハート・ウォーミング・ストーリー」になってしまう恐れもあるような気もします。

映画も楽しみですね。

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2008年5月30日 (金)

「幸せのレシピ」

No_reservation DVDで「幸せのレシピ」を観ました。

キャサリン・ゼタ=ジョーンズ主演による、ドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のハリウッド・リメイク版。

ニューヨークの高級レストランの料理長、ケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は自分に厳しく色々なルールを課すことで、その地位を確保してきた。ところが急な事情で小学生の姪を引き取って暮らさなければならなくなり、レストランには陽気なラテン系の副料理長ニック(アーロン・エッカート)がやってきて、ケイトの生活と仕事のペースはかき乱され・・・

予定調和な「ハート・ウォーミング・ストーリー」で、手頃な上演時間(104分)に卒なくまとめてありますので、安心して観通せる作品です。

この映画、原作もさることながら、キャスティングが決まった時点で、勝ったも同然といったところじゃないでしょうか。

さながらゼタ姐さんのプロモーション・フィルムと言ってもいいくらい、ゼタ姐さんの美しく可愛らしいこと。

勝ち気で、大人で、でもちょっと子供っぽいところもあって、可愛らしくて、スタイルも良くて・・・。かつてオヤジ殺しとして、多くの男性を虜にしてきたゼタ姐さんですが、その美しさは全く衰えず、ああマイケル・ダグラスが羨ましい。

対するアーロン・エッカートも実にチャーミング。陽気だけれども、決して軽薄でないいい男を好演しています。「カンヴァセイション(ズ)」や「サンキュー・スモーキング」も良かったけれど、今ノリにノってますね。

リトル・ミス・サンシャイン」の好演も記憶に新しい子役のアビゲイル・ブレスリンは可愛く初々しいだけでなく、堅実にベテランたちを支えています。

特に際立ったところはありませんが、期待を外すところのない無難な映画でしょう。

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2008年5月27日 (火)

シドニー・ポラック

Tootsie 映画監督のシドニー・ポラック氏が26日に癌で亡くなったそうです。

監督作品としては、アカデミー賞の作品賞や監督賞を受賞した「愛と悲しみの果て」や「追憶」が有名ですが、僕が好きなのは「トッツィー」。

俳優としても、ちょっととぼけた味のある脇役をこなしていましたね。

享年73歳。まだまだ映画を撮って欲しかったですね。

ご冥福をお祈りします。

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2008年5月23日 (金)

「タンタンの冒険旅行」

Tintin ここ最近、ウチの男子チーム(長男7歳、次男4歳)がハマっている漫画絵本シリーズビデオシリーズ

僕はこれまで全く知らなかったのですが、1929年から連載されていた漫画絵本の古典として有名な作品のようです。

16-17歳とも言われているベルギー人の少年新聞記者(ルポライター)タンタンがいろんな事件に巻き込まれつつ、世界中を冒険旅行するお話です。

その描かれた時代背景もあって、政治的(恣意的)な描写や、反日的な描写や、人種差別的な描写や、動物虐待的な描写も多々ありますが、総じて子供心をくすぐる冒険譚であり、かつ大人の鑑賞にも耐えうる内容になっていると思います。

だから何十年も世界中で愛されてきたのでしょう。

スピルバーグがインディ―ジョーンズを制作するきっかけになったとも言われているようで、スピルバーグは近々モーションキャプチャーを用いたフルデジタル3Dアニメーションで映画化するそうです。

しかし、このところの男子チームのハマりようは大変なもので、図書館で本を何冊も借り、レンタルDVDを借り、絵を模写し、帽子や服でタンタンのまねをして走り回り・・・、何が彼らをそこまで駆り立てるのか、よく分かりません・・・。

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2008年5月21日 (水)

「芥川龍之介短編集」

Akutagawa 図書館でふと目について借りてみた本。「芥川龍之介短編集 ジェイ・ルービン編 村上春樹序」。

芥川龍之介の小説は好きでも嫌いでもなく、正直言うと、教科書で習う程度しか読んだ記憶がありません。

まあ、ちょっとは読んどくのが「教養」かなと思う程度。

村上春樹が序文を書いているのですが、まさに「国民的作家」の一人として分析していますので、やはり「教養」の一部ということになるのだろうけど、芥川が生きていた当時は当然そんなことはなくて、一世を風靡した切れる若手作家であり、スターだったんでしょうね。

村上春樹の序文は大変な力作で、今では「国民的作家」である芥川の栄光と挫折、そしてその時代背景と精神状況をも、同業者としての視点も交えて迫っていて、この序文だけでも一読の価値はあると思います。

編纂のジェイ・ルービンは村上春樹作品の英訳も手掛ける元ハーバード大学日本文学教授。

芥川作品を英語圏の人にも理解できるように選定しつつも、新しい切り口―分類により作品を紹介していて、これは原文とその文化を理解する私たちにとってもとても受け入れやすいように思えます。

で、肝心の芥川作品を再読(中には初めて読む物も・・・)してみての感想は・・・

確かに、作品の書かれたバックボーン(その時代の人々の受け入れ方や芥川の精神状態)も知っていて、ほどほどに歳を取ってから読むと、また違った面白みがあります。けれども、やはり「教養、教養」と念仏のように唱えていなければ、すすんで読み込めない気がします。

ただ、文章は抜群に巧いですね。何と言ってもリズムがいい。当然ですが、後世に残る作家というのはいい文章を書くものですね。再認識しました。

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2008年5月17日 (土)

「トロイア戦争とシュリーマン」

Troyトロイア戦争とシュリーマン」を読みました。

「絵解き世界史」のシリーズとして出ている一巻です。

トロイア戦争を描いたホメロスの著書「イリアス」の副読本的な解説書であり、同時に、トロイア遺跡を発見したハインリヒ・シュリーマンの仕事と人物像について描いた本でもあります。

構成として非常に面白いのは、後世に描かれたトロイア戦争に関する絵画や彫像、そしてトロイア遺跡に関する図版・出土品などの「絵」による資料をふんだんに挟みながら、「イリアス」の解説とシュリーマンに関する話を交互に書き込んでいるところ。

多くの人は、貧しい少年時代を過ごしたシュリーマンが、子供の頃に読み聞いた「イリアス」に抱いた夢を忘れずに、実業家として大成し、私財を擲ってトロイア発掘を果たした「偉人伝」として、シュリーマンを知っていることでしょう。

しかし、武器商人でもあったシュリーマンは、驚くほど強欲で、地位と名声のためなら虚言を弄することも人を裏切ることも全く厭わず、それどころか自説を強引に認めさせるために多くの貴重な出土品を破壊し、盗み、私物化し、後の考古学的研究に多大な被害を及ぼした人物でした。

当時は考古学学会からとんでもない素人学者として忌み嫌われた人物も、「美談」として伝え残されていることも多いのは、彼の著作などによる自己宣伝の巧みさもあるようですが、それでもやはり、彼が独力でトロイア発掘に先鞭をつけた(決して「トロイア戦争」の「トロイア」を発見したわけではなかったけれども)功績が小さくはないからでしょう。

この本では、そんなシュリーマンの恥知らずな人物像に対して決して好意的とは言いかねる描写を重ねながらも、そこにギリシャの神々とプリアモス、ヘクトル、パリスやアガメムノン、アキレウス、オデュッセウスらの英雄譚を絡み合わせながら、最後にこう結んでいます。

「男はトロイアを夢見た―たとえその主張の大半が間違いだとしても―トロイア遺跡の発見者、それはハインリッヒ・シュリーマンである。」

史実と神話を糾える縄のように詠うホメロスの物語と、自らの「信念」のために嘘と裏切りで塗り固められたシュリーマンの生涯が、本書の中で呼応するように絡み合い、充実した読後感が得られました。

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2008年5月15日 (木)

「魔王」

Maoh_2 伊坂幸太郎の「魔王」を読みました。

相変わらず話の構成的には隙だらけですが、描写力・表現力は優れていて、「読ませる」小説です。

内容としては、村上龍を思い起こさせるような、ファシズムを描いた政治的なものですが、この描写力で村上龍のような構成力があったら無敵なのになあ。

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2008年5月 8日 (木)

「アヒルと鴨のコインロッカー」

Ahiru_to_kamo DVDで「アヒルと鴨のコインロッカー」を観ました。

伊坂幸太郎の原作というのも特に意識はなく、新作の札が取れたばかりの新しめの作品だったから借りただけだったのですが、意外にいい映画でした。

全体的に説明的な演出がちょっと鼻につきますが、主演の瑛太が非常に巧く映画の雰囲気を作り上げていました。コマーシャルくらいでしか知らなかったので、瑛太がこんなにいい役者だとは思いませんでした。その他に、濱田岳や松田龍平もいい味を出していて、若い役者さん達に支えられた映画だと思います。

大学入学のために仙台にやってきた椎名(濱田岳)は、アパートの隣に住む河崎と名乗る男(瑛太)に声を掛けられ、同じアパートに住むブータン人青年・ドルジのために本屋から広辞苑を強奪する計画に乗せられる。ドルジは河崎の元彼女の琴美(関めぐみ)と付き合っていたが、彼女は彼のもとを「去った」という。そこにはドルジ・河崎・琴美の切ない友情の物語が隠されていた・・・。

「本屋襲撃!」という奇抜さを、映画の看板としてもってくるのはどうかなと思います。そういう「奇抜」な話ではないので。ミステリーとして説明的に喧伝しようとする姿勢はなくてもいいのにな。

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2008年5月 2日 (金)

「ギリシア神話を知っていますか」

Greek_mythology 最近、長男が子供向けの漫画で読んだらしく、西洋古代文明やギリシア神話にやたら興味を示して、しょっちゅう色々な質問をしてきます。

よく考えてみると、ギリシア神話は断片的にこそ知ってはいますが、きちんと読んだことはありません。そこで、岩波文庫の「ギリシア・ローマ神話(ブルフィンチ著)」を手にとっては見たものの、膨大な文章量にめまいがし、また字が小さすぎて読めない・・・

これではいけない。即戦力になるギリシア神話の知識を身に付けて親父としてエラソーにしないといけない。と思い、手にしたのが、阿刀田高の「ギリシア神話を知っていますか」。

これは良かった!

何と言っても読みやすい。いまさら阿刀田高先生に失礼ですが、本当に文章も構成力も抜群に巧い。

軽妙洒脱にして、決して軽薄にならず、オヤジごごろをくすぐり興味を持続させるエロいエピソードも挟みつつ、本筋は逸らさない。

これは他の「知っていますか」シリーズも読みたくなるなあ。

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2008年5月 1日 (木)

とびだししかけえほん

Img_0806 次女の誕生祝いに、親戚から「シンデレラ(とびだししかけえほん)」を貰いました。

非常に複雑な構造で、びっくりするほど鮮やかに様々な仕掛けが飛び出してきます。

絵本としての美しさはもちろんのこと、その機能美にはため息がでるほどです。

Img_0814こんな本を作るには、3次元的に優れた構成能力と、想像を絶する試行錯誤があるに違いありません。

絵本というより芸術作品ですね。

子供たちがすぐに壊してしまいそうですが、まあ絵本だからしょうがないかな。存分に楽しんで、みんなの心に強い印象を残してくれれば、それでいいのかもね。

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2008年4月23日 (水)

「プレステージ」

時間と空間を斬新に切り刻んで映画史に残るインパクトを与えたPrestigeメメント」のクリストファー・ノーラン監督最新作「プレステージ」を観ました。

19世紀のロンドンを舞台に広げられる二人の奇術師の物語。

かつては同じ奇術師の助手であったアンジャーとボーデンは、アンジャーの妻の公演中の事故死から互いを憎み合うライバルとなる。アンジャーは妻の死の原因がボーデンにあると考えたからだ。そして、独立した奇術師となったふたりは互いに報復を繰り返し、とうとうアンジャーが公演中に妻と同じ状況で事故死し、その犯人としてボーデンが逮捕されるのだが・・・

物語はアンジャーの死からはじまり、ノーラン監督らしい時間と空間の入り乱れた演出で物語が展開します。

しかし、初見で多くの人を混乱に陥れた 「メメント」と異なり、この映画は話の流れがスムーズに理解できる演出となっていて、ほどよい緊張感を保ちながらも、映画の流れに身を任せていれば、その展開を楽しむことができます。

そういう意味で、「メメント」よりも遙かにエンターテイメントとして優れた作品となっています。

物語の結末は、察しの良い人であれば、途中からある程度の予想はつくでしょうが、それでも、緊張感が途切れることはなく、驚愕のラストが提示されます。

19世紀のロンドンという舞台づくりが非常に巧みで、映画全体の雰囲気も物語も熟成されていて、充実感を味わうことが出来る映画でした。

チョイ役でデヴィッド・ボウイが出てたのにはビックリ。

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2008年4月20日 (日)

「砂漠」

Sabaku このところ伊坂幸太郎のかため読みをしていますが、「砂漠」を読みました。

仙台に住む大学生たち、男女6人の物語です。

青春小説というのは、登場人物のキャラクターが確立した時点で、8割方出来上がったようなものだと思います。出来上がったキャラクターたちが自然と話を作り上げてくれるはずですから。

そういう意味では、この小説はとても完成度が高いと思います。

以前にも伊坂幸太郎について書いたとおり、本当に心理描写、人物の描き方が上手いです。

この物語に登場する若者たちも、読んでいて愛おしくなるようなキャラクターばかりで、読み終えるときには、彼等に会えなくなるのが寂しく感じられるほどでした。

けれども、話の筋としては、甘くて軽くて物足りないと思います。

そこが、この小説が「青が散る」になれない理由でしょう。

僕が若いときにこの小説を読んだとしたら、楽しく読んだでしょうが、僕の人生に影響を与える一冊にはなりえなかったでしょう。

やはり、伊坂幸太郎は描写力では群を抜いていますが、物語の担い手としては甘いなあというのが僕の印象です。

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2008年4月15日 (火)

「フィッシュストーリー」「死神の精度」

Accuracy_of_death Fish_story 出張の往き帰りに伊坂幸太郎の「フィッシュストーリー」と「死神の精度」を読みました。

「死神の精度」の映画化や、「ゴールデンスランバー」の本屋大賞と、飛ぶ鳥を落とす勢いの伊坂幸太郎ですが、とにかく文章が上手いと思います。

誤解を恐れずに言うと、ストーリー・テラーではないでしょう。

特異な状況や「死神」の視点など、独特の切り口によって展開させていくものの、ストーリー的には纏まりのないものも少なくなく、ミステリーとしても決して斬新ではないと思います。

しかし、とにかく描写力がすごい!決して飾り立てた文章ではないけれども、個性的でかつ的確。卓越した心理描写で登場人物のキャラクターを作り上げていく筆致には唸らされるばかりです。

ストーリーや構成的な面から、まだもう少し直木賞は獲らせて貰えないかもしれませんが、僕個人的にはそんなことどうでもいいような気がします。この作者の文章が作り上げた人物の息吹を感じられるだけで十分です。そんな読後感に浸らされた作品群でした。

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2008年4月11日 (金)

「天然コケッコー」

Tennen DVDで「天然コケッコー」を観ました。

くらもちふさこの人気コミックが原作だそうですが、この原作はよく知りませんでした。

島根県浜田市の山村の生徒が6人しかいない分校に、東京からの転校生が来たことで始まるストーリー。

特に大きな起伏もなく、主人公の女子中学生と転校してきた同級生の少年との淡い恋を中心に、青々と広がる山と海を背景に淡々と物語が進みます。

エピソードとしては中途半端に感じられるものもありましたが、そういう中途半端ささえもが、この映画の雰囲気になじんでいたようにも思えます。まあ、青春時代なんて、ある意味中途半端で尻切れトンボのようなものです。

何てことはないけれども、心が和む映画でした。

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2008年4月 5日 (土)

「終末のフール」

Shumatsu_no_fool 伊坂幸太郎の「終末のフール」を読みました。

最近映画化された「死神の精度」でも話題の作者ですが、僕はよく知りませんでした。

で、「死神の精度」を図書館で借りようと思ったけれども、さすがに貸し出し中で、この作品を借りてきたわけです。

しかし、これ、かなり面白かったです。

3年後に小惑星が地球に衝突して人類が滅亡することが分かっているという設定で、様々な家族を描いた連作短編集です。

SF的な設定ですが、物語自体はSFではなく(このSF的な設定にオチもありません)、そういう設定を切り口にして「人間の幸福」について描いた小説といえると思います。

テンポが良くて読みやすいのですが、登場人物の心理描写が実に巧いと思います。

「あ~、そういう表現をするのか!」と何度も唸らされました。

様々なレビューを読むと、伊坂幸太郎のコアなファンにとって、この小説はどちらかというと物足りない異色のもののようです。また、他の作品も読んでみようと思います。

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2008年4月 3日 (木)

「リーピング」

Reaping DVDで「リーピング」を観ました。

かつて聖職者だったヒラリー・スワンク演じる主人公。スーダンの奉仕活動中に夫と娘を失ってからは、いわゆる「奇跡」を科学的に証明することで名を馳せる学者として活動している。しかし、アメリカ南部の小さな町ヘイブンからの調査依頼を受けた彼女の眼の前で、「出エジプト記」の「十の災い」が次々と展開する・・・

といったキリスト教文化の背景がなくては語れないストーリー。

CGも駆使した、どうやって撮ったんだろうという映像も交えつつ、前半は上手く観客の恐怖心を煽る作りになっていると思います。

中盤からは、かなり荒唐無稽な展開になってくるのですが、あまりB級っぽい作りではないので、まあそこそこの説得感のある描写となっていますが、結局はキリスト教文化が骨の髄まで沁み込んでいなければ(例えば「サタン」に対する恐怖が実感できなければ)、面白くはないんでしょうね。

主演がヒラリー・スワンクじゃなかったら最後まで観られなかったかも。

あ、それから、物語のキーとなる少女を演じたアンナソフィア・ロブ(「チャーリーとチョコレート工場」でガムを噛んでいたあの子です)はかなりの美少女です。ホント。

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2008年3月26日 (水)

「オーシャンズ13」