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2009年7月 2日 (木)

「ぐるりのこと。」

Gururi DVDで「ぐるりのこと。」を観ました。

みんな自分勝手で、みんな優しい

1993年。画家になる夢を捨てきれずに靴修理店でアルバイトをする夫・カナオ(リリー・フランキー)と小さな出版社に勤める妻・翔子(木村多江)。翔子のお腹が膨らみ始めた頃、カナオは法廷画家の仕事を依頼される。地下鉄毒ガス事件、幼女誘拐殺人事件・・・。様々な事件を法廷で描きながら、カナオと翔子の生活にも大きな波・小さな波が絶えず打ち寄せる。子供のこと・・・不安定さを増す翔子の精神状態・・・見守るしかないカナオ・・・。多くの事件と共に夫婦の90年代も過ぎてゆく・・・

90年代の様々な事件を背景に添えながら、ひと組の夫婦が過ごした10年を描いた作品。

監督は「ハッシュ」で世界的にも高い評価を得た橋口亮輔氏。

「ハッシュ」は、面白さは理解できたけれども、なんだか自分には馴染まない居心地の悪さを感じましたが、この作品はとことん心に染みました。

具体的に明示されないものの、すぐにモデルがそれと分かる90年代の大きな社会的事件を挿入しつつ、ひと組の夫婦の間を流れてゆく時間を描いていきます。

この夫婦にとって、自分たちの「ぐるりのこと」と、さらにそれを取り囲む社会的な「ぐるりのこと」が同時に描かれていくわけです。

かなり重たいテーマもあるのですが、リリー・フランキーの脱力系の演技(演技というよりほとんど「素」なのかもしれませんが)とユーモアがいい塩梅で物語に活力を与えてくれています。

木村多江の、ひとりの女性の喜怒哀楽を画面いっぱいに渾身で表現した演技は、多くの賞を総なめにしただけのことはあり、鬼気迫るものがあります。

この主演ふたりのバランスが非常に良く、エンディングでは、もう少し彼らのこれからを観てみたいと思わせられるほど、良質なドラマでした。

Akeboshiの音楽も非常に心地よく、彼の他の作品も聴いてみたくなりました。

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