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2009年4月25日 (土)

「おくりびと」

The_departure DVDで「おくりびと」を観ました。

言わずと知れた、先ごろ日本映画初のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品です。

丁寧に作られた普通にいい映画

オーケストラのチェロ奏者としての夢破れ、山形に帰郷した大悟(本木雅弘)。「旅のお手伝い」という求人広告を手にNKエージェントという会社を訪れたところ、社長の佐々木(山﨑努)は開口一番「こりゃ誤植だな。”旅のお手伝い”じゃなくて”旅立ちのお手伝い”だ。」そして大悟の納棺師としての日々が始まった・・・

これまであまり顧みられることのなかった「納棺師」という仕事に光を当て、日本人らしい死生観を描きながら世界でも認められるという快挙を得た作品として、話題を独占したのは周知の通りです。

「納棺師」「納棺の儀」の描き方、死生観の描き方などについては色々なところで書かれていますので、他の記事に譲るとして、単純に映画として、よく書き込まれた脚本に、細部まで丁寧な演出を積み重ねた、地味だけれども着実に組み上げられた作品でした。

特異な職業、テーマをベースにしながらも、随所にユーモアを交えて生と死の問題に取り組み、それでいて日本のドラマにおいては典型的な人物像・キャラクターたちを書き込んでいった脚本は見事です。

ちょっと欲張りすぎて、大悟(本木雅弘)の父子関係にまで筆が及んだのは、少し無理もあった印象ですが、それでも何とか最後にはまとめ上げています。

ひとつ違和感が残ったのは、映画のテーマを鮮明にするためでしょうが、大悟(本木雅弘)の妻(広末涼子)や幼馴染の「納棺師」という仕事に対する最初の拒否反応の示し方。もともとよく知らない仕事に対して、普通はあそこまで「穢らわしいっ!」ってやらないよね。

本木雅弘の演技は「モックン」以上でも以下でもなくて、「しこふんじゃった」のころから何も変わらないキャラクターを演じているだけなので、可もなく不可もないといったところですが、納棺師の所作やチェロ演奏における研ぎ澄まされた動きは賞賛に値すると思います。

その上で、脇を固める素晴らしい俳優陣(山﨑努や山田辰夫の「眼」だけで全てを語るような演技の説得力!)あってこその映画でもありました。

噂に違わず、期待を裏切らない、いい映画です。

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