「ダーク・ナイト」
DVDで「ダーク・ナイト」を観ました。
「暗闇の騎士」とは・・・?
無法状態に近いゴッサムシティにおいて、法に頼らず悪人たちと対峙してきたバットマン(クリスチャン・ベイル)にも無法者としての非難が集まりつつあった。そんな中、すべての犯罪者が恐れるほど冷酷極まりないジョーカー(ヒース・レジャー)が現れ、バットマンをあざ笑うかのように犯罪を重ね、挑発する。新しく赴任した地方検事ハーベイ・デント(アーロン・エッカート)は揺るぎない正義心と強い行動力を示し、バットマンはデントにこれまでの自分の役割を託す決心をするが・・・
非常に高い打率で商業的にも批評的にも成功を納めてきたクリストファー”メメント”ノーラン監督の最新作にして、バットマン・シリーズの最新作。
アカデミー賞は助演男優賞でしたが、最早主演と言っていいほどの存在感で鬼気迫るジョーカーを演じた、ヒース・レジャーの最後の完成作品としても名を馳せました。
「前ジョーカー」ジャック・ニコルソンがヒースの死に際して「俺は警告したんだ・・・」と言ったそうですが、「ジョーカー」のイメージを決定づけていたジャック・ニコルソンの怪演を、命を懸けて凌駕したヒースの「ジョーカー」は確かに映画史に残ると思います。
この映画のテーマは、悪(ジョーカー)が正義(バットマン)を呼び、正義がまた悪を生んでしまうという、悪と正義の表裏一体的なジレンマであり、そこに苦しむバットマンとその心をえぐるように責め立てるジョーカーの世界秩序を見透かしたような悪魔性でしょう。
非常に複雑なテーマではありますが、たとえ汚れ役であっても、「正義」のためにそのジレンマをおして戦い続ける「暗闇の騎士」に、アメリカという世界の警察国家を重ね合わせる人も多いようです。
そのあたりは深読みすれば切りがありませんが・・・
いずれにせよ、明確なオチがあるとは言い難い2時間半にも及ぶ作品を、ジェット・コースター・ムービー的な手法を使わずにじっくり観せてしまう、ノーラン監督の腕力には脱帽です。
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