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2009年2月 7日 (土)

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

There_will_be_blood DVDで「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」を観ました。

忘れた頃に記憶の隙間にフラッシュ・バックしてくる

19世紀末-20世紀初頭の未開拓地の残る北米。一攫千金を狙う強欲な野心家ダニエル・プレインヴュー(ダニエル・デイ=ルイス)は、各地で鉱山の採掘をしてきた。やがて彼は、石油採掘のための土地買収を行うようになり、幼い息子を交渉の場に同席させて相手を安心させる手法で、方々を渡り歩くようになる。そして、西部の作物も育たない荒野の町リトル・ボストンに石油が出るという情報を掴み、安く土地を買い占め、ついに石油を掘り当てる。この成功で莫大な財産を手にするが、町の教会のカルト牧師イーライ・サンデー(ポール・ダノ)と対立し、また、油井の爆発事故で息子が聴力を失ってしまう。そこから、プレインヴューと町や教会との微妙な関係は崩壊し始め、他人を誰も信じようとしないプレインヴューはただひたすら強欲に生きてゆくが・・・

ポール・トーマス・アンダーソン監督の作品はどれも重厚な物語を強引にねじ伏せるような腕力があり、さながらジョン・アーヴィングの小説のようですが、その強引さを巧く馴染ませる触媒として、いつもユーモアが散りばめられていました。

しかし、この作品はそんなユーモアさえも退け、ひたすら濃厚にひとりの男の狂気に満ちた人生を描き切った大作です。

観客を驚かせるようなアクションもスペクタクルなCGもない158分にも及ぶ作品ですが、観はじめたら眼を逸らすことさえできないほどの強い引力に満ち溢れています。

この作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞したダニエル・デイ=ルイスの狂気溢れる演技。そのルイス相手に渡り合う鬼気迫るカルト牧師ポール・ダノ。そして、P.T.アンダーソン監督の剛腕ながらも、繊細でヒリヒリする切れのある演出とカメラワーク。

すべてがねっとりと絡みつくように観客を捉えて離さない。

この映画の持つ力は、生命力の強い黴の胞子のように、観る者の体の中に入り込み、根を張り、忘れた頃に記憶の隙間にフラッシュ・バックしてくる。

悪徳に身をやつした孤独な男、プレインヴューの最後のひと言が今も僕の頭の中に響いています。

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