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2009年1月31日 (土)

「ムーンライト・マイル」

Moonlight_mile 少し前の映画ですが、「ムーンライト・マイル」を観ました。

町のカフェで起こった発砲事件で結婚式の直前に婚約者を失った青年(ジェイク・ギレンホール)。当初の予定通り、彼は婚約者だった彼女の両親(ダスティン・ホフマン、スーザン・サランドン)と暮らしながら、慰めに訪れる人々の相手をし、彼女の父の仕事の手伝いを始める。しかし、彼には、彼女の両親に隠していることがあった。彼女はそのことを伝えるために、事件に巻き込まれたカフェで父親に会うはずだったのだ・・・。

1989年に恋人の女優、レベッカ・シェイファーをストーカーによる発砲事件で亡くしたブラッド・シルバーリング監督が、その経験を下敷きにして脚本を書き、撮った映画だといわれています。

映画は、既に「事件」が起こり、周囲がある程度落ち着いてからの時間経過で始まります。ですから、最初から婚約者=娘は登場せず、彼女を失った悲しみや犯人に対する憎しみを声高に訴えるのではなく、彼女のいない喪失感が淡々と描かれています。

この、悲しみや憎しみを強く主張しすぎないというのが、この映画独特の描き方で、娘の死を受け入れられない不器用な父(ホフマン)、弔問客たちを皮肉りなじることで苦しみを遠ざけようとする母(サランドン)、隠し事を話せず辛い胸の内を秘めたまま彼女の両親と暮らす青年(ギレンホール)、の微妙な関係が映画の中心に据えられます。

この微妙な関係を芸達者な俳優たちが演じることで、忘れ難い印象を残す映画です。

不条理な事件で愛する者を失った者たちを描く映画としては、独特のスタンスを持つ作品ですが、これは諸刃の剣であり、全体としてはまとまり感のなさも拭えません。

他にはない切り口の映画だけに、ちょっと惜しいところです。

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