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2009年1月28日 (水)

「100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影」

Conjecture 図書館でたまたま目についたので取ってみた本。「NHKスペシャル 100年の難問はなぜ解けたのか―天才数学者の光と影」。

2007年10月22日にNHKで放送されたドキュメンタリー番組を、ディレクターが本としてまとめたものです。

僕はテレビをあまり見ることがないので、実際に放送されたものは見ていませんが、この本は純粋に読み物として非常に面白かったです。

年が明けてから忙しく、本を読んだり映画を見たりする時間が取れないのですが、数学が大の苦手科目だった僕でも、読み進めるのが楽しくて、隙間時間を使って2時間ほどで読みました。

「100年の難問」とは、ボストンのクレイ数学研究所が「ミレニアム懸賞問題」と名付け、解決できた場合は1問につき100万ドルの賞金を支払うと宣言した7つの問題の中のひとつ、「ポアンカレ予想」です。

たった一本のロープを使うだけで、宇宙の形が丸いか丸くないかを確認できるというのが、1904年にフランスの数学者ポアンカレが発表した「ポアンカレ予想」だそうです。

なんのこっちゃと言う感じですが、長~いロープの端と端を地上とロケットに結わえ、ロケットを地球から発射させて、そのロケットが宇宙を1周して地球に帰ってきたとして、地球上にあるロープの2つの端を引っ張って、どこにも引っかからずに手繰り寄せることができれば「宇宙は丸い」と確認できる、という論理だそうです。

う~ん、分かったような、分からないような。

多くの数学者が、最初は簡単な問題だと思って取り掛かり、そしてその「難問」の泥沼にはまり、魅力に取りつかれ、さまざまな学者人生を送る様子が取材されています。

そして、数学者たちを悩ませてきたこの難問中の難問は、2002年にロシアの数学者がネット上に証明論文として発表し、それが正しいことが2006年に認められたのです(その論文が正しいかどうかの検証にさえ、2年かかったそうです)。

しかし、驚くべきことに、そのロシアの数学者グリゴリ・ペレリマン博士は「ミレニアム懸賞問題」の賞金100万ドルも数学界のノーベル賞「フィールズ賞」の授与も拒否し、2003年にMIT・プリンストン大学・ニューヨーク大学で論文内容のレクチャーを行って以降は、ほとんど誰とも連絡をとらず、サンクトペテルブルグの狭いアパートで暮らし、郊外の森でキノコ狩りを楽しむ生活をしているといいます。

かつてのペレリマン博士を知る人々は、彼がまた新たな難問に取り掛かっているとも考えているようですが、NHKの取材班も博士に会うことはできず、彼の考えも、彼の現状も全く分からないままです。

ですから、実は「100年の難問はなぜ解けたのか」というところにも、「天才数学者の光と影」にも肉薄しておらず、本のタイトルとしては「看板に偽りあり」ということになりますが、「ポアンカレ予想」やペレリマン博士に関わった数学者たちを取材し描くことで、その問題の魅力(魔力)と数学者たちの人生を描き、魅力ある内容の本となっています。

数学に興味がなくても、「人」と世の中の「謎」に対する興味を喚起する、面白い本です。

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