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2008年11月12日 (水)

「打たれ強くなるための読書術」

Utareduyoku 東郷雄二著「打たれ強くなるための読書術」を読みました。

総論としては、そう目新しいことは述べられていませんが、各論としては面白い読書論でした。

総論的には、よくあるタイプの「人格の陶冶という精神論」を目指した読書論ではなく、実践的な「正解のない世界に」「中腰で耐えつつ」生きていくための方法論を説いた本です。

恋愛小説や冒険小説を楽しむ「青春読書」の時期を終えた大人が、「自分を組み換える」ために必要な読書方法を提唱しています。

これを、本から何かを受け取る一方の「受動的読書」ではなく、自ら本に問いかける「能動的読書」と位置づけ、そこから「知的に打たれ強くなる」力を身につけることを説いています。

この「知的に打たれ強い」というのは豊富な知識で議論に勝つことではなく、「わからない」あるいは「完全にはわからない」という中途半端な「正解のない世界に耐え」、「判断をカッコに入れ」たまま本を読み進む、高度な知的作業ができる能力のことだといいます。

分かりやすく論を展開するために、この真逆である「知的に打たれ弱い症候群」というのを具体的に以下のように示しています。
1.すぐに解答を欲しがる
2.どこかに正解がひとつあると信じている
3.解答に至る道をひとつ見つけたらそれで満足してしまう
4.問題を解くのは得意でも、問題を発見するのが不得手である
5.自分の考えを人に論理的に述べる言語能力が不足している

自分がこれに当てはまらないように努力しているつもりではありますが、思い当たる節は少なくないと思います。あふれる情報を整理する忍耐力が足りずに、ついつい易きに流れてしまい、いわゆる二次情報を信じ込んでしまうことはありますね。

本に書いてあることを鵜呑みにせず「本との距離を取り」、必要とあらば「判断を一時的にカッコに入れて」、「正解がないという状態に耐える」のは、メディア・リテラシーの能力にも通ずるところがありますし、内田樹氏が説く「中腰で耐える」という力にも共通するところがあるように思います。

本書の面白いところは、そういった総論を説くだけでなく、「知的に打たれ強くなる読書術」として、具体的な方法論に多く頁を割いているところです。

それは、「本の探し方」や「本への感度を上げる」方法から始まり、「本の読み方」にまでも細かく踏み込んだものとなっています。

「本の探し方」で紹介されていた、国立情報研究所の「想-Imagine Book Search」は相当に面白いです。是非とも一度試してみてください。

「本の読み方」としては、本書の提唱する「分析読書」「比較読書」「批判読書」をするためには、自分で本を買い、線を引き、書き込みをしながら読むことが肝要であると述べられています。

僕は、ここ最近は本の置き場所や経済的なことを考慮して、9割以上の本は図書館で借りているのですが、本を読みながら「ここに線を引きたいな」と思うことはよくあります。そんなときはいつも架空の線を引きながら読み進めますが、結局すぐに忘れてしまいます。

これからはせめて付箋を貼りながら読むことにしようかな。

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