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2008年11月21日 (金)

「潜水服は蝶の夢を見る」

Le_scaphandre_et_le_papillon DVDで「潜水服は蝶の夢を見る」を観ました。

(想像力+記憶)×20万回の瞬き+映像美

ジャン=ドミニク42歳。伊達男。「ELLE」の編集長にして、妻と愛人と3人の子を持ち、「モンテ・クリスト伯」現代版の執筆を計画中。そして、ある日突然、脳卒中で倒れる・・・。
意識が戻った彼は左眼のまぶた以外は動かすことが出来ない「閉じ込め症候群(ロックト・イン・シンドローム)」であった。深い絶望から死を望んだジャンであったが、残されたのは「左眼」だけではないことに気づく。「想像力」と「記憶」。そして彼は左眼の瞬きの合図だけで本の執筆を始める・・・。

同名の本を記したジャン=ドミニク・ボビー氏の実話です。

ジャンの左眼だけの視点とモノローグで幕を開ける非常に凝った映像は、ジャンそのものであり、映画を観る僕らは「閉じ込め症候群」を疑似体験しながら、伊達男の物語に入り込んでいきます。

瞬き以外の自由が利かない苛立ちともどかしさと絶望感の中、ジャンが「もう自分を憐れむのをやめた」とき、映像は羽を得て、ジャンを客観的に映し、想像と記憶の中を自由に行き来し始めます。

その映像の美しいこと!

画家でもあるジュリアン・シュナーベル監督がカメラマン、ヤヌス・カミンスキーと共に作り上げる圧倒的な映像世界は、閉じ込められたジャンのミニマムな世界から、解き放たれた自由な想像と記憶の世界まで、映画という表現のポテンシャルを再認識させてくれる素晴らしいものです。

介助者がアルファベットを順に読み上げるときに瞬きをすることで文字を特定し、単語を綴り、本を書き上げていくという、気の遠くなるような作業を続けるジャンに悲愴感はありません。

適度なセンチメンタリズムと絶え間ないユーモアが、周囲の人間と、本や映画に触れる者たちに、生きる意味を爽やかに突きつけていきます。

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