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2008年10月 3日 (金)

「田村はまだか」

Tamura朝倉かすみの「田村はまだか」を読みました。

若いころの情熱と燃えきらない何かを引きずったまだ40歳、けれども気がついてみればもう40歳、の男女5人。

小学校の同窓会の3次会。

小さなスナックで、まだ来ない同窓生「田村」を待っている。

田村を待ちながら、深夜のスナックで酔いに委ねられ、それぞれが自分たちの来し方を思う。

様々な思いが駆け巡る。それぞれが、波瀾万丈とは言えないまでも、一言では語れないほどの物語を抱えている。

田村は彼らの心の拠りどころだったのかもしれない。

決して恵まれた少年ではなかった「孤高」の小学生・田村が残した言葉と行動は、今も彼らの心の深いところで輝き続けている。

そして、スナックのマスターも、彼らの話を耳に挟みながら、いつしか自分の人生を振り返り、気がつけば一緒になって田村を待っている。

田村はまだか。

短い文で、リズムよく淡々と物語を積み上げていく様は、まるでハードボイルド小説のようです。

皆まで言わない(書かない)描写の塩梅が絶妙ですが、内容は濃く、結構ウェット。

男性心理描写も相当にイイ線いってると思います。あ~結構イタイとこ突かれたといった感じ。

最後の展開は、この小説にはちょっとドラマチックすぎるきらいはありますが、連作短編集として、非常に巧くまとまっていると思います。

何だかんだ言うより、とにかく最初の一篇を読んでみてください(立ち読みでもすぐ読める程度の長さです)。僕は久しぶりに小説で目頭が熱くなりました。

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