「池上彰のメディア・リテラシー入門」
「池上彰のメディア・リテラシー入門」を読みました。
テレビ・新聞からインターネットまで、そして流行などの社会現象に至るまでの、溢れる情報を正しく読み解くための入門書です。
とても読みやすく分かりやすい文章で書かれているので(本書の趣旨からも、この点については筆者も気を配ったのでしょう)、小一時間ほどで読める内容です。
大ざっぱに言うと、各種メディアの「裏側」を紹介することで、情報を鵜呑みにしない・情報に踊らされない力を身につけなさいという警告を発している本です。
しかし、その内容は概して目新しいものではなく、あくまでも入門書の域を出ませんし、だからどうすればいいのかといったところまでは言及されていません。
これは、筆者が平易な内容で広く読者を取り込むことに重点を置いているからだとは思いますが。
その点を踏まえていれば、「メディア・リテラシー」という言葉の意味もあまり理解していない層に向けられた本としては悪くないと思います。
ただ、テレビ(特にNHK)に関する記述ではちょっと甘さが感じられるのは、著者がNHK出身だからでしょうか。
ネット情報が広く一般にも行渡るようになったためか、情報が増えれば増えるほど、ありとあらゆる情報の信用度が薄まってきているように感じます。
「メディア・リテラシー」というのは、最近よく眼にするキーワードですが、実際により「正しい」情報に近づくためには、広い基礎知識と、そしてその知識を常に最新のものにしておく弛まぬ努力と、限られた時間の中で膨大な情報を仕入れて整理する高度な能力とが必要だと思います。
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