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2008年10月20日 (月)

「ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座」

Izawa_motohiko 井沢元彦著「ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座」を読みました。

井沢元彦というと右傾化した内容を想像される方も少なくないかもしれませんが、この本はそういった文脈とはあまり関係はないように思います。

先日、ちょっとばかし旧約聖書の超入門書を読んだ勢いで読んでみました。

本の構成としては、最初にユダヤ教・キリスト教・イスラム教の成り立ちをごく簡単にレクチャーした後、それぞれの宗教の代弁者〈アメリカのキリスト教テレビ伝道師、日本ユダヤ教団のラビ、スーダン共和国駐日特命全権大使/サウジアラビア・アブドゥラズィズ国立大学主任教授)との対談が収録されています。

初版が出たのが2004年のアメリカ大統領選挙の直前ですので、政局・時局的な内容としては旧聞に属するところもありますが、これら3大一神教を取り囲む環境には変化はありませんので、違和感なく読むことができました。

4年前のブッシュとケリーが大統領選挙を戦っている中で、宗教的な複雑さが選挙戦に落としている影についても書かれているのですが、オバマとマケインが争う現在の方がより一層複雑さを増しているのではないかと予測されます。けれども、そういった宗教的なことをからめた報道は、日本ではほとんど見受けられず、4年たった今も日本のアメリカへの理解が全く進んでいないことを思い知らされます。

やはり、一般的大多数の日本人のように多宗教-多神教-現実的な意味での無神論を社会政治構造の基本とする者からは、一神教文化・文明が生活・政治を構成する国を理解するのは不可能なのかもしれません。

文化・生活にないものを感覚的に理解するのは極めて困難ですが、良くも悪くもグローバリズムの進む世界に生きる僕等としては、こういった本を読むことで、アメリカも含めた宗教国家のことを、理性的に知識として捉えておく必要があるように思います。

ユダヤ教・キリスト教・イスラム教のそれぞれの代弁者へのインタビューは、井沢氏の歯に衣着せぬ鋭い質問があり、大変面白いものでしたが、何より興味深いのは、どの代弁者も自らの宗教が一番寛容で他宗教を許容しているのに他宗教がそれを許さないのだと訴えていること。

そして、彼らのインタビューを読んでいると、読者も結構納得させられてしまうこと。

さすがにそれぞれの宗教の代弁者だけあって、非常に話術も巧みで(もちろんそれを支える知識も膨大ですが)、説得力のある内容です。

けれども、この1000年~2000年に渡る宗教的混乱・係争の解決の糸口は何一つ見つけることができず、すべては平行線のままです。

せめても、この混迷するグローバルな世界で生きていくためには、僕らは知識を味方につけておかなければならないという思いを強くしました。

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