「転々」
DVDで「転々」を観ました。
やっと「映画」として結実した三木聡作品
両親に捨てられ、育ての父も逮捕され、自堕落な毎日を送る大学8年生の竹村文哉(オダギリジョー)。そんな彼のもとに84万円の借金を取りたてに福原(三浦友和)がやって来る。しかし、福原は自分の提案に付き合えば竹村に100万円をやると言う。その提案とは、吉祥寺から霞ヶ関までの福原の「散歩」に同行することだった・・・
三木聡作品のギャグや小ネタに関しては憎からず思っていて、「時効警察」も、「ダメジン」や「亀は意外と速く泳ぐ」や「イン・ザ・プール」も観ています。けれども、あの口の端でニヤリとさせられる笑いも、絶え間なく続けられてお腹いっぱいにさせられる上、肝心のストーリーが中途半端に終わることも少なくなく、正直食傷気味でした。
この「転々」も三木聡ファミリーといっていい俳優陣が登場し、いつもの三木作品の色を呈していますが、中心に据える物語がどっしりと存在感を示していて、やっと「映画」になった三木作品を観た思いがします。
物語といっても大きな起承転結はないのですが、そんな物語を力強く成立させているのは、他でもない三浦友和の存在感だと思います。
もちろん若手俳優きっての演技派オダギリジョーも素晴らしく、三浦友和の名演と呼応して、観る人の心を静かに締め付けていきます。
何てことない話の運びが、ふたりの俳優の絡みでグイグイ引力を増してきて、最後に肩の力を抜くようにスッと終わる。そして、それを見送るオダギリジョーの眼差し。
いい映画です。
もちろん、いつもの小ネタや遊びも満載で・・・、まあこれはビョーキみたいなものでしょうから、笑って許しましょう(笑)。
| 固定リンク
「本・映画」カテゴリの記事
- 「長ぐつをはいたネコ」(2012.03.30)
- 「マイレージ、マイライフ」(2011.08.04)
- 「嫌われ者の流儀」(2011.08.10)
- 「街場の中国論」(2011.08.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント