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2008年7月 2日 (水)

「最後の授業 ぼくの命があるうちに」

The_last_lecture 友人がブログで紹介していた「最後の授業 ぼくの命があるうちに」を読みました。

著者はカーネギーメロン大学(ペンシルベニア州ピッツバーグ)でコンピュータ・サイエンスにおけるヴァーチャルリアリティの若き権威として知られるランディ・パウシュ教授。

この本はパウシュ教授が2007年9月18日に大学で「最後の授業」を行ったその内容と、その「続き」について綴られたものです。

アメリカでも日本でも、大学では人気教授の引退時の「最終講義」というのがありますが、パウシュ教授の場合はそれだけでない特別な意味のある「授業」でした。

この講義を行った時、46歳であったパウシュ教授は、その一年前に膵臓癌を宣告され、手術や化学療法を行ってきたものの、講義の直前に癌の転移が判明し、余命は3-6ヶ月と宣告されていたのです。

ですから、もちろんこの授業はその事を前提に進められているのですが、決して「遺書」などではない、人生とその夢に対するポジティブな「金言」に満ち溢れた本でした。

講義の内容は専門のコンピュータ・サイエンスの話ではなく、彼が人生を振り返りながら、「子供のころからの夢を本当に実現するために」という内容で語ったものです。

ほとんど3ページに一度は線を引きたくなるような提言が満ちているのですが、ユーモアと楽観主義に溢れた語りで、押し付けがましさは一切ありません。

その理由は、この講義が聴衆に対してだけなされたのでなく、彼の子供たち(6歳の長男、3歳の次男、1歳の長女)のためであったからでしょう。

この本は、実際の講義を記録したDVD付のものと、そうでないものの2種類が出ているようですが、多くの人が薦めるように、先にDVDを見て、それから本を読むのが一番の方法だと思います。実際、そういう順番で作られた本ですし。(DVDの内容は出版社のウェブ・サイト―YouTubeによるもの―でも見られるようです。)

DVDで見られる講義の内容は実に楽しいものです。ユーモアたっぷりに力強く語る教授の様子はとても末期癌と闘っているようには見えません(もちろん彼と彼を支える家族の努力があってこそ、そのように見られる講義ができたわけですが)。

実際の講義は1時間あまりで、内容的には残念ながら少し足りない、ややまとまりに欠けるところもあります。教授自身もそのことは十分自覚しているのでしょう。本はそれを補足・補完し、さらにあえて授業では話すのを避けた妻と子供のことについても多く割かれています。ですから、DVDを見るだけでなく、必ず本を読まなくてはいけません。

本の中で語られるエピソードの中で、好きなものはいくつもあります。

12歳のときにディズニーランドでやっとの思いで買った両親へのお土産を、買った直後に壊してしまったとき、お店の人たちがしてくれたこと。(顛末は是非とも本で読んでください。)

幼いころからのヒーローだったスター・トレックのカーク船長(俳優のウィリアム・シャトナー)が、パウシュ教授の仕事を取材に来て、その後にカーク船長の写真に船長の台詞をサインして送ってくれたこと。

その台詞は「勝ち目のないシナリオがあるはずはない (I don't believe in the No-Win Scenario.)」。

親しい人に薦めたくなる本です。

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