「ゾディアック」
DVDで「ゾディアック」を観ました。
60年代後半から70年代前半にかけて、サンフランシスコ周辺で実際にあった連続殺人犯(シリアル・キラー)「ゾディアック」を追った人々を描いた映画です。
無差別にカップルやタクシー運転手を襲い、新聞社に謎の暗号文を送りつけ、暗号文を掲載しないとまた新たな事件を起こすと脅す、そしてテレビに特別番組を組ませて電話で「出演」までしてしまう、マスコミを利用したいわゆる劇場型殺人事件の最も古いケースがこの映画で忠実に再現されています。
「セブン」や「ファイトクラブ」の監督デヴィッド・フィンチャーは、このアメリカ犯罪史上に残る未解決事件を、細部まで丁寧に描きながら、事件にかかわった人々の群像劇として映画を構成していきます。
とにかく事実を違えぬように忠実に描いているようなので、物語の展開としては面白く膨らませようもないのですが、事件を追いかけた新聞記者、刑事、そして新聞の風刺漫画家(この映画の原作とも言える本を執筆したロバート・グレイスミス)の心理描写やその後の人生を描くことで、この事件を浮き彫りしていこうとする手法を取っています。
興味深いのは、重要容疑者とひとりの新聞記者を除いて、関係者が皆存命していること。DVDにはエクストラとして実在の彼らのインタビューも添えられています。
曲げようもない事実を描いているため、ミステリーとしてはオチも何もないので、消化不良に感じる人もいるかもしれませんが、この話、僕は面白かったですね。
実際にあったこの事件をドラマとして描くことはとても困難なことだと思うのですが、デヴィッド・フィンチャーは実在の人物に敬意を払いながら、そして過去の陰惨な事件を面白おかしくエンターテイメントにすることもなく、映画として成立させていると思います。これは監督としてすごい力量じゃないかな。
| 固定リンク
「本・映画」カテゴリの記事
- 「アメリカン・ギャングスター」(2008.11.27)
- 「潜水服は蝶の夢を見る」(2008.11.21)
- 「真夜中の五分前」(2008.11.15)
- 「打たれ強くなるための読書術」(2008.11.12)
- 「再会の街で」(2008.11.01)


コメント