「サン・ジャックへの道」
DVDで「サン・ジャックへの道」を観ました。
「女はみんな生きている」のコリーヌ・セロー監督によるフランス映画です。
母親の遺産を相続する条件として、仲の悪い兄弟3人(経営者としては成功したけれども妻がアル中の兄、毒舌家の反体制的な教師で夫が失業中の妹、アル中で全く働かず娘にまで平気で金をたかる弟)が、フランスのル・ピュイからスペインのサンディアゴ・デ・コンポステラまで徒歩で巡礼の旅(お遍路さんのようなものかな?)をする道行を描いたロード・ムービーです。
この3人に加えて、アラブ系移民のツアー・ガイドと青年や、大病(癌?)を患い人生が変わってしまった女性、主体性のないフランス人の女子高生らが一緒になって旅を続ける中で、それぞれが抱える問題を少しずつ変化させていくというストーリー。
各々の人物描写が大変面白く、雄大な自然を背景にして、観客までも「旅」に連れて行ってくれるようです。こんな旅、僕もしたいな。大変そうだけど。
登場する様々なキャラクターは、現在フランスが抱えている国内事情(移民の問題、教育の問題、失業者の問題等)を反映しているらしく、フランス人が観ると、決して明るくない現実を扱った映画なのかもしれませんが、基本的にはポジティヴ・シンキングのエンディングで、気分を晴れやかにしてくれます。
何度か挿入される登場人物たちの心象を象徴したとても抽象的な夢(?)の描写がありますが、あれは省略して、もっと自然の光景や細かいカメラワークなどで心象を表現してくれた方が良かったような気もします。けれども、ああいう映像が入ってくるあたりが、フランス映画らしいといえばそうなのかもしれません。
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