「それでもボクはやっていない」
お寺、相撲、社交ダンスとちょっとマニアックな世界に視点を当てつつ、そこから巧みに人生観・世界観を提示してきた周防監督が今回選んだテーマは痴漢冤罪。
これは日本の裁判映画史上記憶に残る傑作だと思いますし、世界的にも永らく認められるだけのクオリティーを持った作品だと思います。
決して「疑わしきは被告人の利益に」なっていない日本の裁判制度の現状を、エンターテイメント精神を忘れることなく淡々と描いていきます。
これまでの作品のように合間にギャグを挟まなくとも、140分の長丁場を全く飽きさせずに観させるエンターテイメント性において、周防監督は映画製作の新たな高みに立ったように思います。
社会問題を提起する映画として、人を楽しませる映画として、ほぼ非の打ちどころのない出来だと思います。ただ一点、題名が暗示する監督が確信犯的に導いたエンディングがエンタメ的にはどうかという点を除いては。
これは一種のホラー映画とも言えるかもしれません。僕はもうこれからは満員電車には乗れませんね。まあ、乗る機会もなさそうだけど。
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