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2006年2月11日 (土)

「トッツィー」

Tootsie 久しぶりの書き込みになります。大好きな映画「トッツィー」をDVDで観ました。

これは本当に名作だと思います。ダスティン・ホフマンの名演もさることながら、何と言っても脚本が素晴らしい。ありえないような設定の物語も時代背景や社会問題をスパイスに効かせてリアリティーのあるものとし、心に突き刺さるような名台詞が各所にちりばめられています。

長年の女友達(テリー・ガー)とベッドを共にしてしまったホフマンがジェシカ・ラングを好きになったことを告白したときのテリー・ガーの台詞。「友達じゃないか!」というホフマンに「そんな仕打ちをするのは友達じゃない、恋人よ!」。24年前に観た高校生の心にも響きました(笑)。ラストシーンでのホフマンとラングが交わす台詞も大好きです。「僕らはすでに一線を越えている。だってもう友達じゃないか。君を知ったあとの僕は君を知る前の僕よりずっといいよ。」といった内容だったと思います。

ホフマンの女装がずいぶん話題になった映画ですが、女装した男性としての演技ではなく、いわば劇中劇としての質の高い女性の演技がなされていることが素晴らしいと思います。ドロシー(女性)としての演技(いわば劇中劇)とドーシー(男性)としての演技が全く別人であり、ドロシー(女性)は当然ドーシー(男性)の人格だけれども、ドーシー(男性)はひとり歩きし始めたドロシー(女性)の人格とは無関係に男としての身勝手な行動もするわけです。自立しようとする女性の気持ちが分かるはずのドロシー(女性)であるドーシー(男性)は女性に対して身勝手な男性でもあることが、観客には示されるのですが、ドーシー(男性)自身はその矛盾に悩む様子もありません。私はこの映画の演出としてむしろこのところに好感が持てます。ここでドーシー(男性)が矛盾に思い悩んで女性の気持ちが分かるようになるのなら、「ハート・オブ・ウーマン」と変わりないですから。いえ、「ハート・オブ・ウーマン」は面白いコメディ映画だと思いますが、「トッツィー」のように何度も繰り返してみたくなる何かがないでしょ。私はこの映画は恋をする男性の気持ちを非常にうまく描いた映画だと思います。

この映画はキャストもいいし(ビル・マーレーやシドニー・ポラック監督の演技も素晴らしい)、デイブ・グルーシン、スティーブン・ビショップの音楽も大好きです。デイブ・グルーシンは映画音楽家として一番脂がのっていたころですし、スティーブン・ビショップのテーマ・ソングは名曲です。

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コメント

僕も「トッツィー」は大好きですね。色々好きなシーンはあるけど、一番はラストシーン、二人の掛け合いがあった後、ジェシカ・ラングがホフマンの肩(首)に、ホフマンがラングの腰に腕を回してストップモーションになるところ。
まあホフマンとラングの身長差故のシーンなんでしょうが(笑)、(「恋人」ではなく)「友人」としての再スタートを上手く表現してた気がします。
ま、ジェシカ・ラングがこの作品での自分を嫌う理由も分からなくはないですけどね(笑)。

投稿: 鈴麻呂 | 2006年2月12日 (日) 20時10分

あのラストシーンは印象的ですね。僕も大好きです。
で、今回、果たしてあの二人が恋人同士になれたかどうかを想像してみたのですが、僕がこの年になって思うに、やっぱり無理かなと。ドロシーという女性の視線を通して自分を知られすぎてしまったジュリーがドーシーを恋人にできるかなと。いい友人にはなれるかもしれないけど。
ところで、ジェシカ・ラングはこの役を嫌っているんですか?初めて聞きました。

投稿: akamatsu | 2006年2月14日 (火) 01時04分

マッチョで中身のない男に惚れてる「アホ」な女の役ですからね(笑)。「嫌ってる」と聞いたことがありますよ。

まあ僕もこの二人が恋人になるのは無理かなと思います。でもお互いの恋人の愚痴を言い合う凄くいい友人にはなれるでしょう。
この歳になると、そういう異性の友人の貴重さが良くわかります。

投稿: 鈴麻呂 | 2006年2月14日 (火) 21時00分

>マッチョで中身のない男に惚れてる「アホ」な女の役ですからね(笑)。
なるほど。すごくチャーミングな役なんだけどね。
でも、その後ジェシカ・ラングってあんまり役に恵まれていないようにも思いますね。
私生活ではバリシニコフとかサム・シェパードとかパートナーには恵まれているようですが。

投稿: akamatsu | 2006年2月15日 (水) 01時33分

「自分のやりたい役」が決して「いい役」ではない、ということでしょう。
フランス映画あたりだと、そこら辺の落としドコロがあるんだけどねぇ。

投稿: 鈴麻呂 | 2006年2月15日 (水) 20時47分

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