「アンダーカレント」
友人の鈴麻呂さんが薦めていた漫画「アンダーカレント」を読みました。
漫画を読むのは本当に久しぶりなのですが、なかなか面白かったです。
静かに淡々と日常のエピソードを積み重ねながら、日常の底流(アンダーカレント)に潜む非日常が少しずつ表われていく手法は見事です。脇役たちのキャラクターやそれぞれのエピソードも上手く描かれており、漫画的な笑いも絡められ、地味な話ですが退屈せずに一気に読めました。
ストーリー展開としては、最後のオチ(主人公の旦那の消息、主人公のもとに現れた男の正体)が少し唐突な感じで、もう少しそれを予感させるエピソードがあってもよかったと思いますが、全体的な仕上がりとしては非常にいい作品だと思います。
帯には「映画-本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します」と書かれていましたが、この漫画の描かれ方自体がかなり映画的で、監督によってはいい映画になるかもしれません。でも、この世界はこの作品形態で完結したほうがいいかも。
「アンダーカレント」というのはビル・エヴァンス&ジム・ホールから来てるのかな。このジャケットを連想させる画が時々挿入されるし、作品自体のもつ基調(雰囲気)が良く似てると思います。このレコードは大好きですね。静けさとその底流にある緊張感が素晴らしい。
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コメント
最後のオチが唐突なのは同感です。「夫の失踪」と「女主人公の抱える闇」に物語的な連関が薄いのがこの作品のキズでしょうね。ただそこをギッチリやっちゃうと、もっと暗い作品になっちゃったろうけど(笑)。
エヴァンス&ホールとの関連は気が付きませんでした。コリャ、ご指摘の通りでしょう。
僕も好きなアルバムなんだけどなぁ。
投稿: 鈴麻呂 | 2005年12月15日 (木) 21時29分
このアルバムはジャケットも含めて傑作ですよね。静と動、安寧と情念の絡み合いがあらゆる表現を超えているように思います。
投稿: akamatsu | 2005年12月16日 (金) 00時50分